後悔しきれない

 実家の猫・みちこが死にました。
 ちょっと前から「弱ってきてる」って話を聞いてはいたので、ダンナと一緒に会いに行ったのが…1ヶ月ぐらい前? 確かに、げっそり痩せちゃって背中なでてあげるのも痛々しいぐらいでした。
 昔、タヌキっていう名前の猫も飼っていた我が家。彼はずっと前に死んでしまいましたが、その時穴を掘ったのは主に私でした。そろそろふたつめの穴を掘ることになるのかなあ、と思いながら実家を後にしたのです。
 その後、先月の26日に「だいぶ弱ってるからヒマ見て会いに来てあげて」と妹からメールをもらったんですが、用事があったのとなんか体調が悪かったのとで行けなかった私。まだ私が実家にいた頃から、なぜか私よりもダンナのほうに懐いていたみちこなので、今週の土曜日にでも、またダンナと一緒に行こうかなと思ってた矢先でした。


 享年20歳。猫としては、大往生です。
 思えば私が小学生の時からうちにいたわけで、半ば空気みたいなものでした。いて当たり前で、いなくなるなんてことは、当然分かってはいたんだけど、実感としてありませんでした。今も無いです。
 餌の時間ばっかり妙に人懐っこくすり寄ってくる、とっても猫らしい猫でした。うちの実家では5時になると市内放送でチャイムが流れるんですが、それに合わせて餌をやっていたので、その音が流れてくるとどこからともなくすっ飛んで帰ってきて、靴箱に飛び乗ってガラス戸から家の中を覗き込んでミィミィ餌をねだるお茶目なやつでした。
 その、靴箱に飛び乗る、ということがなかなか軽やかにできなくなってきたのが2,3年ぐらい前から。それでも、時折小鳥やゴキ○リ(!!!)を仕留めて、その戦果をわざわざ分かりやすいように勝手口の前に置いといてくれる元気なおばあちゃん猫だったんですよ。
 年取ってもずっとスリムな体型だったし、いつも念入りに全身の毛繕いをしてて、ぜんっぜん身体も洗ってやってないのに、飼い主が言うのもなんですが美人な猫でした。

 ……と書いても書いても、やっぱり実感が湧きません。困ったものです。
 ただ、メールをもらったときに、すぐにでも会いに行ってればよかったな、ということが強く心残りです。
 実家では、明日の朝早くに、穴を掘って埋めてやるそうです。もはやお墓に向かって拝むことしかできないんだなあ。時は取り戻せないっていうのを、こんな風に思い知ることになるなんて。