青い鳥

「近頃じゃ空も眺めない毎日さ」
街じゅうに転がってるそんな呟き
石ころ蹴飛ばすみたいに駆け抜けてた
あの頃目に映るものはすべて青かった

おとぎ話で見たまぼろしの鳥が
この世界のどこか 本当にいると信じていた

そしていつの日か探し出すんだと
まだ見ぬ翼の色に心を染めていた

近頃じゃ夢もショーウィンドウの中
気がつけば癖になっている溜息
「奇跡を見せましょう」口上も軽やかに
でも急ぎ足の街では 手品師の声も届かない

広げた両手から 無数の青い鳥が
今日もまた残酷な日射しに灼かれ死んでゆく

いつかなんて日は 訪れることはなく
まだ見ぬ翼は見られぬままに終わるのだろうか

乾いた目を見開いたまま流れてゆく街並みに身を任せる
引き出しの奥に人知れずしまい込んだ鳥の模型を
何色に塗ればいいのか きっと誰もが迷っている

絶滅寸前の はかないあの鳥は
遠い昔 空の色を身にまとっていた

あたしは何度でも とても飛びそうにない
いびつな鳥の模型に色をつけてゆく
まだ見ぬ翼と同じ色がないなら
作り出すのさ 迷いながら 戸惑いながら
そして今日もまた 幼いあの日のように
まぼろしの青い鳥を抱きしめる夢を見るんだ
この両手で