【自問未回答】

開けてない机の
2段目の引き出しの中とかの
隙間なんて全然ないとこに
頼んでもないのに勝手に溜まるホコリみたいに
いつの間にかそこにあって

使ってないから溜まるんだとか
そんなのどうすればいいの

いらないものなんて何にもないけど
今すぐ使うあてとかなくて
そんなものだらけで溢れ返って
気がついたら開かなくなってて

的外れの呼吸が
言葉と言葉のほんのちょっとの
隙間と見るや入り込んできて
溜め込んだ思いを単語以下に分解してくんだ
フィラーにもなれない喘ぎで

一度で踏み出せなかったバンジーが
永遠に飛べないままで(☆)

別に逃げたいわけじゃなくて
躊躇ってるつもりもなくて
ましてやごまかしなんかじゃなくて
でもひょっとしてどれも合ってて

どうすれば逃げずにいられるだろう
躊躇いなくいられたらどんなにいいだろう
何もごまかしてないって言い切れるかな
とりあえずここに塊があって

ざわめきの海に溶けて紛れたいの
それなら何を瓶に詰めて浮かべてるの
消えたいの それとも見つかりたいの
自問ばかりで自答がないよ

いらないことだから言わないんじゃない
今すぐ捕まえなきゃ逃しちゃうタイミングに
縋りついて振り切られて
気がついたらまた溜まってて

あてどない沈黙を
それでも埋めたくて この声で


※自作バンド小説「Noisy Life」シリーズの劇中歌として制作中のものです。
作詞作曲:久住映光

☆印の連、別案あり。

初日に食べれなくてそのまま
腐り果てたメロンみたいだ

様々なことを考えすぎて身体が固まってしまい、結局何もできずじまいで終わってしまうようなことが映光には割と多く、そういった事象の喩えとして〝バンジー〟か〝メロン〟かの二択を検討中。後者のほうが「必ずしも万人が〝あるある〟と感じてくれない感」が出て、彼らしいかもしれない。
ちなみにこの件の参考文献は、生湯葉シホ『音を立ててゆで卵を割れなかった』。

「えっとあの……あっ、この『あの』とか、『ええと』とかそういう、話してる途中に挟まっちゃう、やつのことを、フィラーっていう、らしいんですけど、それすらうまく出てこない……から、ぼくは問題外、だなって、思いました。……ので、歌います。『自問未回答』」
みたいなMCで始まる曲、という想定。
映光自身、自分のMCが相当ぎこちない(というレベルを超えている感もある…)という自覚はあり、「大勢の前での話し方」などといったワードで検索する中で、歌詞にも出てくる〝フィラー〟という単語と出会い、それはどうやら〝防ぎ方〟といったこととセットで語られる、〝余計なもの〟であるらしい……という認識を得た中で着想したもの。
主題としては『石と雷鳴』と共通か。