人生は一期一会であるからして。

「思い」はその場でちゃんと伝えるべきなんだよなぁと思ってみたり。
 
 今朝の私は大荷物だった。
 職場に飾るポスター(シコシコの手作りよん)、諸般の事情あって持ち帰ってた計算機・シャチハタのハンコ・非シャチハタのハンコ・訂正印・朱肉(商売道具)、制服のブラウスやら何やらがガサガサ詰まった手提げ袋、通勤カバン、傘。
 関東地方は台風の前兆ということで暴風雨。肩からカバンを、腕には商売道具入りの手提げとブラウス入りの手提げ、小脇にポスターを抱えて片手で傘を開きながら電車を降りた。
 ……が。
「か、傘が開かないっっ!!」
 
 開かなかった、というのは、傘の形に開いてくれないとかいう意味じゃなくて、その前段階。傘の布を留めてるボタンが、どうにもこうにも取れなかったのだ。
 当然、朝の通勤電車だから出口付近で突っ立ってるわけにも行かず、雨ザアザアの中で手提げ2つとポスターとカバンと開かない傘を抱えて、私はどんどん濡れていくのだった。
 
 寝ぼけていてうまく手が働かないだけかもしれない、でもこれでさすがに目が覚めただろ、と、何度もボタンに取りかかってみるんだがやっぱり取れない。何だか、無性に腹が立ってくる。(注:私はくだらないことで短気です)
 私はよくよく傘に縁のない人間らしく、今までに傘を忘れたこと数えきれず、消えたこと1回、盗まれたこと1回。その度に、納得できる柄の傘を厳選して買い直してるんだが、長くつきあえた試しがない。
 私、傘に呪われてるのかなー…
 今日の傘も、当然のごとく超お気に入りの傘だ。もうなくさないよ、君が壊れるまでずっと付き合おうね。そう決めて、そのとおり今までちゃんと付き合ってるのに。
 ……今度は開かない、かよ(T_T)
 傘持ってるのに開かなくてずぶぬれなんて、情けないやら悲しいやら。
 
 ここでうんうん取っ組み合っててもしょうがないと断念して、仕方なしに歩き出す。やっぱり、傘と取っ組み合いながらだけど。そうしたら、今度は、ポスターを地面に落とした!(>O<;  勘弁してくれよ、もー!!(と思ったのはむしろ周りにいた人たちだろう)    朝からすっかり気分がやさぐれてしまった私。  足元に落ちたポスターを拾ってくれたありがたい人に、ちゃんとお礼を言ったかどうか記憶が定かじゃない。いかんなぁ。挨拶は人生の基本だっつうのに。  その上そのありがたい人は、傘と取っ組み合ってる私の上に、ご自身の傘をかざしてくれるのだった。あうあう…。でも、私はめちゃめちゃ気が急いていて(私、職場の鍵係)、すみませんいいです走りますッとか何とか呟いて走ろうとした。でも、混んでてとても走れるわきゃない。  結局、私は走れる状態になるまでしばらくその人の傘のお世話になりながら、いつまでも他人様の傘に入ってちゃいけないので必死でボタンをこじ開けようとし、それでも開かなくてますますいらいらし出し、その人と別れる時にもちろんお礼は言ったけど、何だか穏やかさに欠けた口調になってしまっていた(と思う)。    ……ダブルで、自分が情けなくなった。  何て失礼なヤツだと、私のこと思ったかな。気持ちよく親切にしてくれた人に対して、気持ちよくその親切を受け入れて、気持ちよく挨拶をして別れるのが大人だろうに……(T_T)  何てガキなやつ。    こんなとこまさか見てらっしゃらないと思うけど、今朝○戸駅で大荷物抱えていたショートヘアの忙しなさげな女に傘を分けてくださった方。  どうもありがとうございました。本当に助かりました。  でも、こういうことってその場できちんと伝えなきゃ、まったく意味がないんだよなぁ…