それは言うなればきっと

 しっかし、某村○ファンドの社長ですけど、あんだけ潔く謝っているにもかかわらず、どうしてこれほどまでに潔くなく聞こえるんでしょうかね(苦笑)沈黙は金なり、ってことなんでしょうか。実は私、ビミョーにこの言葉好きじゃないんですけどね(;^_^A(それはアナタがうるさいオンナだか……ゲホゴホ)

 ひとまず、○上社長のいっそ居直りとも言えるぐらいの謝りっぷりよりも、私にはこの一言のほうがずっと心に引っかかっておりまして。


「皆さん私のことこんなに嫌ってるのは、私がむちゃくちゃ儲けたからじゃないですかね」(うろ覚えなので櫻井意訳)というセリフを聞いた時にですね……なんとも言えないグラッとした感情が一瞬心の中にわきまして、「いや私は別にあんたのことは好きでも嫌いでもないし、儲けたことを羨ましいとも思わないぜ?」と内心反駁し、「やあ……まぁ、でも一般庶民の住んでる世界からはるか遠いはずのM&Aの話題に、世の中がこんなに食らいつくのは、多少なりとも羨望が原因なのかもね」とも思い、「けどだからって、あんたがそれ言うのはなんつーかちょっと……ムカつくよね(苦笑)」と思わず口に出してしまうに至って、この“ムカつく”のはつまるところ、羨望なんだろうなと思わざるを得ないのでした(;^_^A

 その後も彼は、「金儲け、そんなにいけないことですか?」と熱弁していて、私は別にいけないとは思わないけど、なにぶん【キャラミル研究所】のツキアイゲノム2では“PIF-Slow”と診断された人間ですので、「ざっけんねい、こちとらカネのために仕事してんじゃねいやい」なんて威勢のいいこと言ってくれる人のほうが好きだったりします、正直。(もちろん、口先だけのカッコつけで言ってるヤツは却下ね〜。それだったら、ホリエ○ンみたいに「世の中金でしょ」って言い切るヤツのほうが好感持てるわ)

 こうなってくると、とたんに世の中では「ほ〜ら、やっぱりね、汗水流して働かないとダメってことなんだよ」とかなんとかやたら嬉しそうに言う一派が出てくるわけなんですが、私はそういう人にもなりたくないなぁなんて思うんですよ。どんなかたちで自己実現しようと考えるか、ってのは、人それぞれのはずでしょうがって。(いやその前に法律違反でしょ、ってことはいちおう私も理解してますがここではひとまず置きます。世の中の大人数がこの事件注目してるおもな理由は、“法律を犯した人間だから”じゃないでしょうからね)
 ……ただ単に、時代の寵児の栄光と転落を冷静に眺めているフリをすることによって、本当は羨ましくてしかたない私もちっぽけな人間なんだということがばれないようにしてるだけなのかもしれないんですけどね(;^_^A

 ちなみに、私が“羨ましい”のは、彼らの持っている(持って“いた”)地位や富や名声ではありません。ええ、これは断じて。
 むしろ、彼らの落ちっぷりというか……うん、要するに、落差ですよね。彼らの送る人生の、波の大きさ。彼らのように、私は落ちることはありえないわけです。だって、彼らほどのものを持ってないし、もっと言っちゃえば、持とうともしなかったから。

 私たち、基本的に、自分の“分”ってもんを悲しいぐらい理解してるんだと思うんですよ。その枠の中で、あまり多くのものを求めすぎず、手に入れすぎず、慎ましく生きてれば得るものもそんなに多くはないかもしれないけど失うものも少ない。それは平凡で退屈なことかもしれないけど、平凡であり退屈であることこそが幸せなんだって、言い聞かせている。(いや実際そうだろうとは思うけど)
 でも、私みたいな、書くことが好きでかつては作家になりたいと思ったこともあって、けどその道の険しさを想像したら無難に就職したほうがいいのとちゃうかと考えて、必ずしも好きな分野でもなかった仕事に就いて今に至ってる身としては、ときどき胸がかき乱されるんですよね……何もかもを失っちゃうかもしれなくても、力一杯何かを求めてみればよかったなぁ、と。今がじゅうぶん幸せだからこんなこと思うのかもしれないけど、もし思いのままに突っ走っていたら、今ごろどん底だっただろうか、あるいはまかり間違って脚光を浴びてるだろうか、どちらにしても危うく両極端な、今となってはありえないもうひとつの人生に思いを馳せてしまう。
 危ういからこそ、眩しいんですよね。

 そんなわけで、基本的には「ふ〜ん」と人ごとのように眺めつつ、今後もこの人たちのニュースに対しては、ときどき複雑な思いを持て余したりするんだろうな、と思った次第なのでした。

コメント

  1. 時間蠅 より:

     ども、時間蠅です。僕もライブドアにはじまり村上ファンドを経て福井日銀総裁まで続く日本経済界のいろんな出来事をニュースなんかでみてました。僕には「あんなに儲けてずるい」という庶民の気持ちを利用して視聴率を稼ごうとするマスコミの姿が納得いきません。「ずるいずるい」と思っている庶民は、叩かれている人々がどれだけの努力や犠牲をもって高い地位や収入を手に入れたのかを理解しようとせずに、お金持ち=憎むべき悪、と単純に思ってしまっているのかもしれません。もちろんホリエモンも村上さんも正直すぎて、言うべきじゃないことをうっかり口に出して火に油を注いじゃったりしてるんですが。
     それを助長するようなマスコミは美しくないです。やれヒルズ族だとか株式投資でウハウハだとか、そういうふうにみんなの気持ちを盛り上げておいて、そこから成功者が頭を出したら即叩く・・・この「目立ったら負け」という状況はなんだかやりきれないっす。努力しても損するんだったら誰も努力しなくなりますよ。

  2. 櫻井@管理人 より:

    時間蠅さん、ども〜。

    >目立ったら負け

    うーん…出る杭は打たれるっつーか、関係ないかもだけど栄枯盛衰っつーか、禍福はあざなえる縄の如しっつーかね;
    やっぱ何十年か人間やってると、そういういくつかの醒めた現実を肌で理解してると思うんですよね。だから、それもあって、普通の庶民は、村○さんとかホリ○モンみたいな成功を目指さないのかもしれないなぁと。
    …とかいって、ほんとは、自分の無力・無能さを目の当たりにしたくないから勝負を放棄してるのかも(就職決めたときの私みたいに)。ここらへん、思いはごった煮状態なのかもね。
    マスコミは、まさかそこまで庶民の感情を理解してて煽ってんのかなぁ?

    となると、自分の道を突っ走って努力して大成功をおさめている人っていうのは、自分の限界を思い知る怖さとか、世間からの風当たりとか、そういうものたちとも戦った上で勝ち抜いてここまできてるわけですよね。
    庶民から見て、本当に羨ましいのは、実はそこなんじゃないかと思うわけです。
    人間ひとつやふたつ、捨ててきた夢はあるでしょう。おもに、荒唐無稽だからという理由で。でも、荒唐無稽だと断を下したのは、他ならぬ自分なんですよね…ようするに、敵前逃亡ですわな。
    (博士とか歌手とか作家とかいうのは、通常、無邪気な子供のころの憧れだったんだと後になって言い訳するようなたぐいの“夢”なんですよ/苦笑)
    本当に力一杯何かを目指している人は、村○さんとかホリ○モンみたいな人たちに嫉妬混じりの羨望は抱かないんだろうなぁ…
    ──って。ほ〜ら、ね。この人たちについて考えるとこういうふうに薄暗い話になるんです(笑)

    こ、これ、時間蠅さんへのレスになってんのかなぁ…
    長ったらしくまとまらないレスでゴメン。