東京都青少年健全育成条例の改正について(1):改正案の概要と提起されている問題点

 私はTwitterをやってますが、おもにやり取りをしているのがオンライン小説書きさんだったり、アマチュアミュージシャンだったりと、創作畑の人が多いので、自然と件の都条例改正案には関心が高くなってます。
 みんなマンガ好きですしねw

  
 昨日、改正案が都議会で可決されました。
 私の立場を一言で言えば、「現状の改正案には反対」でした。なので、陳情書も出しました。
 結果として通らなかったけど、いい経験になったと思うし、思ったことを伝えることができて悔いはないです(伝わったかどうかは不明だけど…)。

  
 今回の条例改正案は、たまにTVや新聞などで取り上げられたのを見たことがある人もいるかも知れませんが、名目としてはこういうことになります。
 (「平成22年第4回東京都議会定例会知事提出議案(条例案)の概要」より)

 青少年の健全な育成を図るため、インターネット利用環境の整備に関する規定及び図書類等の青少年への販売等に関する規定を整備するとともに、児童ポルノの根絶等に関する規定を設ける。
(例)◯ 携帯電話等のフィルタリング解除手続きの厳格化に関する規定を設ける。
   ◯ 青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるおそれのある漫画等を、青少年への販売等を規制する図書類の指定対象に追加する。
   ◯ 児童ポルノの根絶等に関する都の責務等を規定する。

 
改正案原本(PDF)
   →この原本を探すのにとても手間取りました。都のホームページにも、青少年治安対策本部にもアップされてないんですね…
改正案のポイント
改正案の質問と回答
条例
 
 
 これだけ見ると、何も問題ないように見えるのですが、さまざまな観点から問題点を指摘する声があります。
 
東京都青少年健全育成条例改正問題のまとめサイト
   →有志による、各種情報まとめサイトです。
東京都青少年健全育成条例改正案の問題点と対案(1)
   →この記事の続きが4件ありますが、どれも的確だと思います。
既視感のある青少年健全育成条例についてのコメント
「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案」に関する会長声明
漫画性描写規制 慎重な運用を心掛けよ
表現と創作には自由を、大人にモラルを:東京都青少年健全育成条例改正案に反対します
東京都「青少年の健全な育成に関する条例」改正案に反対します
都条例改正問題 12/9都議会 総務委員会レポート
都の漫画規制条例 守ったものは子ではなく大人
   →こちらは他の記事と違い、可決後に書かれた記事です。
 
猪瀬副知事のツイート
   →「ゾーニングの問題」である点は同意できます。ゾーニングの具体的方法を煮詰める前に可決されてしまったのが残念です。
 
母親の皆さんに 児童ポルノ法&東京都青少年健全育成条例改正問題について
   →こちらは、ちょっと違った視点からこの問題を語ってます。お母さんたちはみんな大変ですよね…
 
 
 ──と、これだけの問題点が指摘されていて、15万件を超える反対表明が業界や全国の国民から寄せられているにもかかわらず、それらの意見を何ら反映させることもなく議決へ持ち込んでしまったやり方に、まず疑問を感じます。
 そもそも、今年の3月に「非実在青少年」という不可思議な用語とともに、今回の改正案のもととなる条文が提案された際にも、多くの問題点が指摘されて、6月に一度廃案となりました。
 その後、条文の修正にあたって、幅広い立場の人間を招いて話し合うこともせず、11月22日になってようやく修正案の全貌が明らかになり、12月の都議会定例会に持ち込まれ、可決されました。ひどく拙速なやり方と映ります。
 
 本当に妥当な改正内容だと信じ、青少年や、青少年をとりまくすべての都民にとって大事な案件だと信じているのならば、なぜ、もっとじっくりと時間をとって各関係団体と話し合ったり、都民に広く知らせなかったのでしょうか?