『夏の果て』

 見ないほうがよかったのかもしれない。でも、見ずにはいられなかった。
 グラウンドに散った夢をその胸に抱えて、彼らは向かう。夏の果てへ。

 『夏の果て』
 作詞・作曲・編曲・歌唱:櫻井水都
 ピアノ演奏:znk

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 詞が最初に全部できた曲です。一応の完成を見たのは1年ちょっと前だったような気が。できあがった歌詞をプリントアウトして、うーんと眺め、鼻歌で曲をひねり出して…という、従来のパターンです。
 ただ今回の歌詞、私史上最大級に字脚が整ってます。多少誤差はありますが、ほぼ七五調になってるかと思います。
 しばらく前から出入りしてる【ボカロ互助会】の作詞チームの中で、「七五調企画」ってのが立ち上がりまして、それに乗ってみたという形です。立ち上がったのが去年の春ごろだったので、季節を先取りして夏の詞を書く人がちらほらいました。
 七五調っていうと、どうも和風な歌詞を書く人が多いようなんですね。純日本風のモチーフを使ったり、文語調だったり。で、私はヒネクレモノですから、そうではない歌詞を書いてやろうと…w
 「七五調」で「夏の歌」、かつ「和モチーフ封印」。で、出来上がったのがこの歌詞だったのでした。夏歌っていう触れ込みでこれはちょっとどうなのよと思わないでもないですが、気に入ってるのでいいです(・∀・)
 ちなみに、ひょっとしたら「あぁ!」って思う人いるかな…? 篠原美也子女史の知る人ぞ知る名曲『ダイヤモンドダスト』を全面リスペクトさせていただいてます。分かる人は強制的に友達ね(笑)

 何はともあれ、多分こんなに字脚を揃えようとしたのは久しぶりか、ヘタすれば初めてです。勉強になりました。
 そんなん当たり前じゃんっていう方もいるでしょうが、ほら、私今までずっと自分で作詞作曲してたので、「曲作ってくれる人のために字脚を揃えてあげよう」とか「メロがこの尺だからそれに合わせて詞をつけよう」とか、そういう必要性に迫られたことなかったんですよね。
 ましてや、今まで書いてきた歌詞の内容が何というかわりと“心情吐露系”?なものだったので、整いすぎてる字脚は却って切迫感を薄れさせちゃう気がして…いや、まあ、半分ぐらいは単に字脚揃える意欲があまりなかったってだけなんですけどね(;^_^A
 でも正直な話、字脚うんぬんは完全に“時と場合”だと思ってます、今でも。だって例えば尾崎豊の『卒業』に対して「字余りだ」とか文句つけるのはナンセンスでしょうし。
 

 メロディについては、ええ、いつもの櫻井節ですw しかも、前回公開した『風に舞う』(=『翌檜』)とほぼ同じ時期にできたので、微妙にコード進行も似ているという。引き出しの少なさを露呈しています(;^_^A
 この頃からだんだん、楽曲としての完成形を想定してメロを作るようになってきたというか。以前から、メロに対して和音やベースラインらしき対旋律は浮かんできてることが多かったんですけど、あわよくば自分でアレンジできたらいいなあという欲を抱くようになったんです。これがまたイバラ道で…(だって楽器弾けないんだもん)
 ちらちらと途中経過をお見せした音源ではピアノは打ち込みでしたが、今回はめでたく友人znk氏の生演奏データをせしめての完成バージョンをお届けできました。う~ん、やっぱフレージングのセンスといい、ちょっとしたコード弾きでの息遣いといい、できる人にお任せするっていいもんですね★(ん? 下心?)

 私、字脚が整ってようがバラバラだろうが、メロに必ずどっか一箇所は4小節単位じゃない部分を作っちゃうクセがありまして。あ、必ず、ってほどじゃないか。でも過半数はそうじゃないかなあ。
 これは歌い手としての趣味ですね。そのほうが変化がついて面白いような気がして。詞先で歌詞書くときに、わざとそういう箇所を作るために字脚を不揃いにしたりもしますしね。
 でも、これが今回とんだ落とし穴でした。
 この曲、Bメロが異様にアレンジしにくかったんです…orz
 そういやはるか昔、私が初めて作詞作メロした『Sailing』って曲を友人にアレンジしてもらった時に、「7小節とか11小節っていう不安定な部分があるけど、それを自然に聞かせるのがアレンジャーの仕事だからがんばるYO!」みたいなことを言われたことがありまして。
 不安定? そうかなあ? 私の頭ん中ではこんなに自然に鳴ってるのに? みたいに思ってたんですが、いや脳内アレンジと実際のアレンジは全然違いますね…時間蠅くん、ごめんm(_ _)m ←私信
 

 というわけで、いろいろ私の中では発見の多い曲でした。
 発見ついでに、もうひとつ初めての試みをしています。VOCALOIDの調声です。
 この曲を気に入ってくださった方は、お時間があればぜひともこちらも聴いてやってください。調声初めてなので、あんまり歌に聞こえないかもしれませんが(;^_^A けっこう頑張りました。歌い回しとか、ひょっとしたら私に似てるかも?

 

 
 あ、そうだ。デモの時に言ってた、私の残念なギターが2本入るっていう件については無しになりました。結局1本(しかも一部は打ち込み…)です。
 これだけ中央にデーンとピアノを据えると、さらに左右にギター1本ずつとかいう高度なミキシングは私にはムリでしたorz
 しかもギター減らしたにもかかわらず、にんともかんともひどいミックスです。マシンのせいにするのは言い訳なのかもしれませんが、でもいくらなんでもEQ調整ぐらいはリアルタイムで聴きながらできる環境が欲しいよう(T_T)
 近々PC乗り換える予定なので、その時にでもまたリミックスしたいなあ。

コメント

  1. 息遣いってなに?

  2. キンちゃん より:

    初めまして。

    mixiの作曲コミュから来ました。

    ちょっと
    相当
    年上のおじさんである上に
    PCのおもちゃスピーカでの試聴でございまして
    誠に失礼いたします。

    「夏の果て」の印象は
    とても
    わかりやすい
    詞・メロディ・アレンジで
    すぐに
    世界にのめり込めました。

    ボーカルも
    低音にパワーがあり
    表現に幅も情念もあり
    相当
    好みです。

    個人的な好みで
    さらに好き勝手を言うなら
    クラッシュシンバルを控えめにして
    タムによるフィルを
    もう少し
    多用すると
    バラードっぽくなるかな
    と感じましたが

    可憐で透明感たっぷりのピアノも
    (ブレイクのリバーブ多めでも良いのでは?スピーカのせいかな?)
    「駆け巡る 背中のナンバー
    そう きっと あれは翼だ」
    の言い切りも
    相当
    好みです。

    また
    チャンスがありましたら
    新作・旧作を
    お聴きしたいと
    思っております。

    ありがとうございました。

  3. 櫻井水都 より:

    キンちゃんさん、初めまして。櫻井でございますm(_ _)m
    『夏の果て』お聴きいただいて、コメントまでくださってありがとうございます!

    PCのスピーカーでお聴きくださったということですけど、視聴環境を選ばずに心地よく聴いていただけるのが“いい曲”だと思ってますので、かえってとても参考になります。

    わかりやすいメロディしか作れないという限界があるんですが(;^_^A やっぱり、好きなんですよね、わかりやすい歌モノが…
    音楽やる人間としての第一スキルが、一応“歌うこと”だったりするので、歌をほめていただけると舞い上がります(*´ω`*)
    決して高い歌唱力の持ち主ではないので、せめて歌心だけは大事にしたいと思っていたりします。

    クラッシュが多いというのは、前作『風に舞う』でも別の方に言われたことがあるので、おそらく本当に多すぎるんだと思います。
    バラード好きですが、ロックサウンドも好きでして、ヘンに混ざっちゃってるかもしれません…(;^_^A

    「駆け巡る~あれは翼だ」の箇所は、このフレーズが浮かんできた時に「これは1曲できるぞ!」と確信した箇所だったりしますので、好みといっていただけてとても嬉しいです。

    このブログの右側のバーから、【Sentimental Noisy Life】という個人サイトで他にも数曲お聴きいただけます。お暇がありましたらどうぞ。
    まだまだ数が少ないので、これからどんどん作ってアップしたいと思ってます。
    こちらこそありがとうございました!