それでもいつか、瓦礫に花が(「瓦礫に花を」改題)

 どうしても書きつけておきたかった、歌詞のつもりのものです。
 個人的に珍しいことに、書きながらまったく曲想が思い浮かびませんでした。だからあんまり良い歌詞ではないのかもしれませんが、今書きたかったことで、できれば歌いたいうたです。
 ちょっと思うところがあり、救いめいたものは用意しませんでした。この詞の話者(つまり私)だけいいカッコするのはいけないと思ったので。
 
 (※2012/02/07 改題および一部修正)
 
 
 
『それでもいつか、瓦礫に花が』
 
 
音もなく降る塵のゆくえ
語る声音はわずかに弾んで
聞き入る顔はどれもうつむいて
遠い空の下では 瓦礫を踏みしめる足音
 
止むあてのない塵を数え
語る声音は日増しに弾んで
旗を振るがままにひれ伏してゆく顔
そしてまたひとつ 瓦礫を踏みしめる足音
 
ひび割れの隙間からでさえ花は咲くのに
風向きひとつにも閉じてゆく瞳
 
そして降り続く塵をいつしか
語るために願いさえして
うつむくために耳をそばだてて
積み重なるのは瓦礫 言葉という瓦礫
 
ひび割れの隙間から咲く花にはなれずに
引き裂かれるままに分かれゆく人たち
 
芽吹くとも分からない種を握りしめて
悲しみの半減期待ち続けている
 
声もなくうつむくそのわけは
ひれ伏すためじゃ決してないのだと
伝えるあてもなく今日もうつむいて
歯ぎしりがひとつ 瓦礫を鳴らして落ちていった