先が書けませんヨ、奥さん!(奥さんて誰よ)
先日『虹待ちの空』第5章(4)をアップしたばかりの櫻井だが、これに安心することなく、すぐに(5)を書き始めている。えっへん。(そのぐらいで威張るな)
創作の手を一度休めると、私の場合、どこまでも延び延びになってしまうのだ。いやだって、私の中ではもうほとんど物語できてるんだもん。完結してるんだもん。それをわざわざ書き起こすのって、えらい労力いるんだもんー(>_<; ←ついに言ったな、櫻井。
物語をあれこれこね回すのは昔から好きだった。キャラの生い立ちから進むべき道まで、ここまでせんでもって言うぐらい設定するのも大好きだ。そのキャラが生きる世界についても。『虹待ち』に限らず、自分の作品世界について朝まで語れる自信があります。やらんけど。相当鬱陶しいだけだし。
私という人間はお喋りだが、喋りが巧みだとは1ミリも思ってない。たいがいが、とりとめがなくなるのよねー。何が大事なことで、何が二の次であるのか、かいつまんで要領よく語って聞かせることがどうもできない。だってあれもこれも全部大事なんだもん! 自分の作品について語ると朝になりかねないっていうのも、この辺りに原因があるのかも知れない。他の人に語らせれば、もっとあっという間に終わる程度の話なのかもー(苦笑)
実際「朝まで生語り」なんかしたら、聞いてくれる人いなそうだけど、同じぐらいの分量の文章なら、誰かしら読んでくれるだろ!
そんなわけで、私は、自分の中の物語たちを何とか作品にしなければならないわけです。
私は、ぶっちゃけた話、自分の書く文章が好きだ。私の創作スタンスがまず設定ありきだからって、その設定で誰か他の人に自分の中の物語を書かせる気は毛頭ない。私の物語は、私の文章でしか完全に具現化できないんだいっ。そこまで言うならもっとさっさと更新しろっていうツッコミが容易に想像つきますな(^o^;
「完全に」具現化することのみを重視するんなら、べつに誰に見せなくても、死ぬまでに一作も仕上がらないようなペースでのたりのたり書いて、自分にだけ見せてやりゃいいんだけども、あいにく私の望む形はそういうのでもなくて。
「多様な形で」具現化することを望むなら、他人に読んでもらう以外ないでしょ!
作品未満なラフ文章じゃあ、とても人様には見せられましぇん。キャラクターの息づかい、仲間と見交わす視線、肌を撫でる風の感触、眼に飛び込む光と色彩。今のこの一瞬に、彼が何を思い出したのか、自分を取り巻く世界が本当はどうあって欲しいと思っているのか。そういうものを、余さずすべて写し取れるカメラでありたい。私の文章は。
そんなことを考え始めると、途端に筆が遅くなる~(@o@)
──そんなわけで、『虹待ち』の更新は相変わらず滞り気味です。
特にこの先、すべての想いが一点に集約されて解きほぐされ、解決を見るはずのパート、どうやって書けば書ききれるのか、途方もつかーん……(ToT)
おこがましいことに、モニタの前の皆さんをホロリとさせるのが野望です。理想自我ばかりがむやみに高邁なのも問題が大きいぞ櫻井。返済を考えた借り入れを(違う)。
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【第5章 賓客】
(5)
森が、哭いている。わらわの名を呼べと。
地の底から漏れ出で、大気を揺さぶり、悠かなる時の大河にも浄化され得ぬ澱んだ嘆きを振りまき、〈雨の都〉は哭いている。
──わらわの名はナイフィア、と。
〈青の公国〉の近衛隊本陣は、この夜半、未だかつてないほどの緊張の網に絡め取られていた。
背筋を伸ばし呼吸すら忘れた風情で立ちつくす、木彫りの兵隊じみた近衛兵一同を、冷ややかに眺め渡しているのは大公ゼルパール。直々に隊を招集してからというもの、彼は口の端一つ動かすことがない。
ことさらに大柄ではない男である。殊に、腕力自慢の強者がひしめく中に立っていれば、その姿はいっそ華奢とすら言えた。だが、彼がその眼に宿す、猛る炎を思わせる光が屈強な兵たちの背筋を芯から竦ませる。
──〈庶民大公〉ゼルパール。
今となっては、彼をそう呼ぶ者は公国内に誰ひとりとしてない。
大公の言葉が待ち望まれていた。張りつめすぎた箏《こと》の弦のような視線は幾重にも交錯し、もはや限界を訴えている。それでも兵は決して自ら口を開く様子がなかった。
真夜中の梟が、ほうと鳴いた。鏡のような月を一筋の雲が撫で、すぐに風にかき消えてゆく。
「アメリアが行方不明である」
ようやく沈黙を破ったゼルパールの声は、それ自体が沈黙そのものであるかのようにひそやかだった。
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……三日かかって書いた文章がこれだけって、結構問題あるかなぁ(爆)