意訳・名訳・珍訳

 ついに「ハリーポッターとアズカバンの囚人」を手に入れた!
 ハリポタ人気を甘く見てた(アタシのすんでる片田舎なんか、あの熱狂とは無縁だろうと思ってたのだ(^ ^;)ので、予約なんかしてなかったよ。発売日の数日後に本屋に行ってもどこにも置いてなくて、取り寄せで何日も待つのもまだるっこしい。読書なんて恋愛と同じ(なのか?)どんなものでも「今・その時」だから、そのタイミング逃したら後はもういつだっていーやー、ぐらいの気分になってしまうのだ。(そんなに思い入れあるんだったら最初から予約しとけよ)
 結局、チョー使えるオンライン書店「bk1」で夜中注文した。次の日の仕事が終わって家にたどり着いた時にはもう届いてた。すげえ。
 
 実は、カレシのTっちが私よりもっとハリポタにハマってて、洋書まで注文していたのだ。私ともうひとり友人は、その洋書をカレシが訳してテキストで配信してくれたのを読んで楽しんでいたわけなんである。
 訳すっていう作業は、すごいもんですね。英語力も必要だけど、それと同じぐらいかもしくはそれ以上に、日本語のセンスが問われるらしい。
 特に、ハリポタみたいにファンタジーな小物や言葉遊びの要素がいっぱい詰まってる文章を、他の言語に直すのは何だかとても難しそうだ。
 だから、Tっちもそりゃあえらく苦労していたみたいだった。
 
(以下、ネタバレが含まれる危険性有りです。未読の方はお気をつけ下さい)
 
 特に「ハリポタ」独特のマジカル小物って言うんですか? その名前の訳しかたが、当然なんだけどほろほろと違ってて面白い。「鬼コショウ」は「黒胡椒キャンディ」だし、「略奪者の地図」は「忍びの地図」。デメンターは「吸魂鬼」になってた(Tっちと私たちとでいろいろ考えたんだけど、ついに訳語が思い浮かばなかった部分)。
 
 Tっち版が頑張ったなぁと思うのは、ここですね。「ムーニー・ワームテール・パッドフット・プロングス」と、マツオカバンではなっている部分。これが「オツキサン・ミミズシッポ・ニクキュウ・エダヅノ」。頑張ってきちんと「訳した」んだね、お疲れさん、という感じです。
 ハリーたちは英語圏の人だから、「ムーニー・ワームテール~」でふむふむと納得するのだろうけど、彼らが日本語を操る人たちだったなら、この「ムーニー~」は、ちょうど(例えば)「オツキサン・ミミズシッポ~」なんて置き換えるとしっくり来そう。
 互いを呼びかける呼称としては、いまいちサマにならない感じはするけど(^ ^; 青春時代の心の友を指すあだ名だもん、ちょっとぐらいヘンな感じのでも、ねぇ?
(私なんか、小中学生の時には「キノコ」って呼ばれてたぞ)
 
 差異もそうだけど、それ以外の部分も、ざーっとみるだけで面白い。
 カドガン卿の口調! ノリノリだね、あれ。まー、Tっち版も一人称が「拙者」とか言って、かなりはっちゃけてたけど、同じぐらいはじけてます。いいのか、あれが公式な邦訳になっちまって!?(いいと思うよー♪)
 トレローニー先生はちょっとザマス言葉入ってるし(一人称が「あたくし」…うちのリリアンと同じだなや(^ ^)
 ルパン先生の口調も…私たちが想像した通りの、ちょっとフランクで、とっても紳士的な、いかにも「ああっ、ルパン先生っ(>_<)」な感じの口調でした。いいぞいいぞ。  …なんか、本来の楽しみ方とちょっと違う気はするけど(^ ^;    ──ああ、もう上で出てしまった。私たち(少なくとも私)が一番ショックを受けた、ふたつの訳の差異。  それが、レムス・ルパン先生のお名前なのでした。  もう、誰がなんと言っても、この先もずーっと、私の頭の中には「リーマス・ルーピン」という登場人物はいません!(何で言い切る)  最初の刷り込みは恐ろしいほどに有効なのです。