【振りサイト再録】キビシイけど因果応報なのかもね…(8月号/46回感想)

非常に、非常に、ひっじょ~~~に、何というかひぐちさんらしい愛情いっぱいの表紙なわけですが!(^-^) 本当に“球児である彼ら”(“彼ら高校球児”ではないのよね)を大切に思ってるんだなあ。
記念写真の撮影シーンなわけですが、ごく自然に千代ちゃんの場所を空けているにしうらーぜ。いいチーム! そして、そういうひとこまを、今回の表紙に限らずたびたびちゃんと細々描写するひぐちさんのまなざしこそがあたたかいと思うのですよ。
 
 

花井の打席。田島のモノローグはやっぱり、よき仲間であると同時にライバルのものですよね。「見ろよ花井 お前ン時は外野が定位置だぞ」、悔しくないと言ったらウソになるんだろうなあ。自分の時は前に寄ってた=そうデカイのは飛ばせないと思われていて、事実そうなんだから。
それでも、事実は事実として受けとめている。
ライバルだと思えばこそ、同じフィールドで勝ちたいと思ってしまうけど、それが自分の持つ“良さ”を殺すことにしかならないんだとしたら、不毛な負けん気ですよね。

花井も、前回で田島に言われたことを受けて、自分の中の“プルヒッター魂”を呼び起こしているわけで。うんうん、あんだけみごとに内野抜けば気持ちいいよね。右も左も打ち分ける田島みたいなテクニカルヒッターに比べて、引っぱる専門だった中学時代のオレってどうなのよ、と思っちゃって(たぶん)、それができないならせめて基本に忠実にセンター返し、というわけでこれまでやってきたわけだけど、この打席を期に、自分の得意分野というものを肯定的にとらえられれば、もっといいライバル関係になれるんだろうなあ。
それに、テクニカルヒッターとパワーヒッターの2人いるなんて、なんて贅沢な二枚看板じゃあーりませんかっ!
 

バッターボックスに向かう前にくすぐり攻撃、というのは定番になりつつありますか。微笑ましいけどハタから見ると何ごとかと思うよね(笑)
そして、阿部がワキくすぐったくないってのはあまりにも“らしい”なあ(笑)思いっきりひかれてる阿部の後ろでこっそりひっそり主張してる巣山くん、ひょっとしてわりと世渡り上手? 阿部がまるっきり盾でんがな(笑)

「今日のオレは ナイバッチ水谷なんだぜ」っていうモノローグがはっきり言ってアホっぽすぎるよ水谷…いやカワイイけども?(笑)しかし確かにホントに“ナイバッチ水谷”だな、この試合!
生還した花井、ハイテンションにまかせて三橋とハイタッチを試み、空回り(爆笑)ままごとやらされてるみたいな気分の花井…!(笑)しかし、そうか三橋、得点したらハイタッチってことも知らなかったのか…。
オレが打てなくてもみんなが打ってくれる、ってことにも感激していましたが。
こういうモノローグ見るたび思うことだけど、ホントにこの子、野球やることの“うまみ”をなんにも知らないで、よく続けてこれたよなあ…。奇跡に近いと思います。その理由の半分が「そこにしか居場所がなかったから」だったのだとしても、それが今につながってるんだから人生って分からない。願わくは、これから先、この子の“野球やる動機”が明るいものになっていきますように。ちょっとずつでいいから。
 

打線がなんやかやとイイ線いってますが、おんなじぐらい打たれてもいます。こうなってくるとやっぱり、最初にあげちゃったビハインドが痛いなあ。
なんたって、三橋のコントロールの良さこそが弱点なんだもんね…絶対首振らないし。ダミーの“首振り”サインも決めましたが、これもどこまで通用するのかな。思考のクセって、なかなか自分で制御できないもんだし。このバッテリーの場合、その“思考のクセ”が1人分だけなんですよね。ようするに、阿部を攻略すればオッケー、と。
「この投手を使ってる限り お前の頭ん中は丸見えだぜ」「サインくれれば オレはなんでも投げるよ!」「何で来よーが 関係ネー」「シュートは打たれた カーブもスライダーも見せた」──この一連の思考の交錯が、なんつーかキツいなあ…。
これは阿部がひたすら孤独な戦いだよね。でも、それは三橋が無責任ってことじゃなくて、三橋は三橋にできる最大限の力で、チームのためによかれと思ってサインどおりに投げてるわけで。
だって、なにしろ、これは阿部自身が望んだバッテリーのカタチなんだもんね…。「首振る投手は大嫌いなんだ」と言ってのけたあの時の感情とは違ってるんだとしても、現象として阿部がサインを出して、三橋が必ずそのとおり投げる、という状態は続いてる。
自分の組み立てた配球がカンペキに実現できる、ということが、きっと阿部にとってはとてもうれしいことで、その反面背負ってしまってる孤独を自覚できないでいるんだよね。サインどおりに投手が投げてくれる、こんなうれしいことは他に無い(はずだ)、だからこの戦いの孤独さもどうということはない(はずだ)、と。
ちょっと前まで三橋が陥ってた(今もか?)、「投げられる、こんなうれしいことは他に無い、だからその環境がどんなにキツくたってどうということはない」っていう精神状態と同じな気がする。
バッテリーという関係性に対して、求める満足の水準が低いんだよね、多分ふたりとも。

この点に関してはもう、負けて初めてその危うさに気づく、ってところなのかもしれない。このふたりがたとえ断固として認めなかったとしても、周りが気づく。モモカンとかね。
呂佳さんの危険な指令で負けるのは後味悪いので、ガチンコ勝負の末、ってのがいいなあと思いますけど。
あっ、イヤ、私は徹底的に西浦ラバーなんで、もちろん三橋たちの笑顔が見たいんですけども! でも、負けることなしに伸びるってけっこうムズカシイんですよね…
どうなるんだろう。ねえどうなるんですかひぐちさんっ!(肩揺さぶり)