一番大事なものっていうのはほかの何にも代えらんないからこそ一番なんであって、じゃあ二番以降に控えてるものに一体どんだけの意味があるのかなぁ。頬杖ついてカゲロウ立ちのぼるグラウンド眺めててもいっこうに答えなんか返ってくるはずがないことは分かってるけど、それでも目ぇ離せないのは真ん中がこんもりと盛り上がった茶色いダイヤモンド。
それがどうしても欲しい。それ以外に興味はない。よく似た代わりのどんなものを山ほど積まれても全然意味なんかない。オールオアナッシングってヤツ。だから、一番大事の“一”は、唯一の“一”だ。ニバンとかサンバンとかヨンバンとか、そういうのはハナっから、アウトオブ眼中。存在しないも同然。
──オレにとっての、大事っていうのは、それぐらいのドでかいシロモノだったのだ。