フレティを質問攻めっ!
〜突撃インタビュー From『虹待ちの空』〜


『虹待ちの空』本編開幕直前に、インタビュアーとの個別面談で進めております。
インタビュアーの手元には質問用紙とペン、そして読者の皆さまからのお便り。

お次の面談者は、肩を上下に揺らしながら、ゆっくりと入ってきました。



まず、お名前をどーぞ。正式名、本名などあればそちらも。 QUESTION-01
 フレイザーン・セティオ・ディス=ブラカナム、というのが一番正式な名乗りだ。
 ディス=ブラカナムというのは姓ではなくて、「〈白の公国〉の」というほどの意味だな。普段は名乗らないのが習わしだ。
 滅多に呼ぶ者はいないが、フレティというのが略称だ。

あなたの性別・髪や瞳の色・体格・民(種)族など(あれば)身体的特徴を教えてください。 QUESTION-02
 見てのとおり、男だ。
 自分の外見を述べるのも変な感じだが……髪の毛は巻き毛で、色は亜麻色というのかな? 肩口まである。目は金色に近い茶色。体格については、痩せているのが悩みだ。嫌味に聞こえたなら心外だが。あとは、左足が義足なんだ。
 私は〈白の公国〉人だからね。東ソール《ソーライト》民族のはずだ。

あなたの故郷について語ってください。 QUESTION-03
 故郷というか、生まれも育ちも〈白の公国〉の〈真珠の都〉だ。他の場所に住んだことはない。
 ただ、我が国の習わしでな。生まれ落ちてから幼い間は、宮殿ではなく、乳母のもとで乳母子《めのとご》とともに育てられる。ファーハもアルも、私に非常によくしてくれて、忝ないと思っているよ。だから「故郷」と言ったら、あそこになるのだろうな。場所の話ではないよ。空気、だ。
 インタビュアー「ファーハというのは、あなたの乳母の名前ですね?」
 ああ、そうだ。

あなたが今いる国(都市・土地)について教えてください。 QUESTION-04
 今言ったとおり、私の国は〈白の公国〉だ。色の名の付く公国はわが国の他にも四つあるが、それらすべて、ソール大陸の内陸に位置している。
 わが国の領土は、大陸の真ん中を通る山地の東側に広がっているよ。雨が少なく、冬はそれほど寒くないが、夏は暑い。これは周辺の国にも言える傾向だな。
 二度遷都したんだそうだ。もともと丘の上の城塞都市だったのだが、平和な世の中になって、平地に移り、文化と交易を重んじたものらしい。それが、お祖父さまの代で再び元の場所に戻ったのだと聞くよ。私が生まれた時には、既に〈真珠宮〉はここにあった。

あなたの職業(地位・称号)は? QUESTION-05
 〈白の公国〉大公子。父上と、正室である母上との間に、最初に産まれた子供が私だから、次期大公位の継承権は第一位ということになる……一応は。いろいろと障害は多いはずだ。父上の思し召し次第だし、そもそもわが一族の世襲を嫌っている旧勢力もあるから。
 ──私は、構わないのだがね。

あなたの家族について教えてください。 QUESTION-06
 お祖父さま、お祖母さま、それから父上と母上。同腹のきょうだいは妹と弟が一人ずつ。腹違いまでを含めたらきりがないので、この辺りで切り上げさせてもらいたい。
 ところで、乳母と乳母子は、家族として数えてよいのだろうか?

あなたが今身につけている服装について教えてください。あれば武器防具アクセサリなども。 QUESTION-07
 今身につけているのは、外出着だ。見てのとおり、青藍色の上下。白のチュニックを上着の襟元と袖口から出している。それから上着の前身頃の真ん中とズボンの横の縫い合わせの部分に銀の刺繍があるな。自室にいる時は、もう少しくだけた恰好をしているよ。ガウンでいることも多い。
 いずれにせよ、ズボンは長いものしか身につけない。

あなたの信仰(宗教・伝説など含む)について教えてください。 QUESTION-08
 ソール、メイリア、ラマンデル。大陸の名前にもなっている三神が世界を支えていると、伝説では語られているが、伝説でしかない。少なくとも私は信じていない。
 神などいないか、いても信仰するに足らぬものだ。ひとつだった大地を三つに分かち、この世界に災いの種をまき散らして行っただけの神など。この世のあらゆる不条理や不幸を根絶やしにしてその存在を証明してみせてくれ。そうしたら、帰依するよ。

上司・主君などはいますか。どんなひとですか。 QUESTION-09
 私は大公子だから、父上が忠を尽くすべき主君ということになるだろうな。

恋人(夫・妻)はいますか。どんなひとですか。 QUESTION-10
 いないよ。なってほしい人ならばいるけれどね。明るくて、じゃじゃ馬で、でもとても優しい人だ。日だまりみたいに、私ばかりが勝手に温まってるだけだから、恋人としてなど、とても認めてもらえそうにない。
 インタビュアー「…………(窓の外を眺め、足の裏を床にこすりつけている)」

特殊技能などあれば教えてください。 QUESTION-11
 魔法は「特殊技能」に含まれるのだろうか? 空が飛べる。見えないが、背中に翼があるんだよ。雨や何かで濡れるとしばらく使えなくなるのが弱点だが。

体を動かすのは得意ですか。動作は速いほうですか。力は強いですか。 QUESTION-12
 身体能力にはまったく自信がないよ、残念ながら。

書物は読めますか。読むのは好きですか。 QUESTION-13
 好きだよ。書物棟には四六時中いても飽きない。今は古代魔法王国期に関する本を読んでいるんだが、例えば、天の魔法の力がそれを宿す人間の身体に与える影響について研究されていたりするんだ。とても興味深い。あんまり読みふけって、侍女に呼ばれるまで夕食の時間を忘れてしまったりするんだよ。

喋るのは好きですか。母国語以外に話せる言葉はありますか。 QUESTION-14
 嫌いではないが、あまり話し上手でもないし話題も豊富ではないから、相手するほうは多分大して面白くないだろうな。私としても、黙り続けていられるものならそのほうが楽だし助かる。
 話せるのは〈王国語〉。この辺りの公用語だ。あとはたしなみとして〈古代語〉を学んだよ。たわいない文を書く程度ならば、不自由しないはずだ。

行ってみたい所はありますか。それはどんなところですか。 QUESTION-15
 この都の外、すべて。贅沢を言わせてもらえるならば、自分の足で。

好きな食べ物は何ですか。それはどんなものですか。 QUESTION-16
 果物はたいがい好きだな。主菜そっちのけでデザートを食べようとして、よく叱られるんだ。

嫌いな食べ物は何ですか。それはどんなものですか。 QUESTION-17
 食べられないと言うほどではないが、魚は苦手だ。

朝起きてまず最初にする事は? QUESTION-18
 義足をつけて、顔を洗う。

夜寝る前に必ずする事は? QUESTION-19
 足を外して、半刻ほど本を読む。半刻で済まないこともたまにあるがね。

苦手な人はいますか。どんなひとですか。 QUESTION-20
 ──いるよ。
 強く、厳しい方だ。

尊敬する人はいますか。どんなひとですか。 QUESTION-21
 いる。多分私は、あの方のようにならなければならないのだろうと、思う。

死んでもやりたくない事はありますか。それはどんなことですか。 QUESTION-22
 アメリアが傷つきそうならば、私が盾になる。場合によっては、それで死んでも満足だろうよ。
 インタビュアー「……ごちそうさまです」

もし、ひとつだけ願いがかなうとしたら、何を願いますか。 QUESTION-23
 一日でいいから、アメリアとアルと野原を駆け回って遊びたい。本当は一日といわず、ずっとがいいんだが、分をわきまえない願いは破滅の元だからな。

もし、あなたに子どもが出来たら、どんな子どもにしたいですか。 QUESTION-24
 健康で、つつがなく育ってくれれば、他に多くは望まないよ。

どのように死にたいと思いますか。 QUESTION-25
 好きな人が惜しんでくれるなら、それで充分だ。

あなたの野望は。 QUESTION-26
 そうだな、強い大人になりたい。大切なものをすべて守り抜けるぐらい強い人間にだ。父上の跡をもし継げるなら、よい統治者になりたいと思うよ。争いのない世の中が理想なんだ。野望というか、夢、だな。

自慢話をおひとつ。 QUESTION-27
 自慢できるほどのことはしてないと思うが。
 ……ああ、そう言えば、アメリアの涙を隣で見ていたことがある。慰めのひとつも言えなかったんだが、それでも、私のささやかな自慢だよ。

今までで一番恥ずかしかった事は。 QUESTION-28
 前に、書きかけの手紙をアルに読まれてしまった。あれは恥ずかしかったな。
 ……ああ、これでは別に「今だから言える恥ずかしい話」にはならないか。だが他にとっさに思い浮かばないんだ。勘弁してくれ。
 インタビュアー「それは、アメリア姫宛ての手紙なんですかね、やっぱり?」
 …………(赤面)
 だとしたら、どうだと言うんだ?

今までで一番嬉しかった事は。 QUESTION-29
 ……アルには黙ってろよ。いいな?
 数年前の冬、この国には珍しく、雪が降ったんだ。その時私たちは二人で外へ遊びに行ったのだが、羽目を外しすぎてアルは地面に生き埋めになるし、私は呼吸困難になってしまったがとにかく無我夢中で助けを呼んだんだ。それで何がどうなったかはよく覚えていないんだが……目が覚めたら、枕元にアルがいて、泣きながら笑ってくれた。嬉しかったよ。

今までで一番ショックだった事は。 QUESTION-30
 父上が侍従と話していらっしゃるのをたまたま聞いてしまった時……かな。
 自分があの方にとって不肖の息子であることは知っていたのだがね……実際に耳で聞いてしまうと、こう、やはり、な。

戦争をどう思いますか。 QUESTION-31
 納得はできかねるな。どんな名目があったところで、所詮は殺し合いじゃないか。敵を滅ぼすためではなく、大切なものを守るために戦うのだって? 言葉は美しいが、それは強者の論理だよ。

夢はありますか。それは何ですか。 QUESTION-32
 野望のところで言ってしまったな。強い大人になりたい。自分にも他人にも甘えない人。大事なものを守るために自分の身を投げ出せる人。こういう人はみんな憧憬の対象だ。私もいつか、そうなりたい。

信念はありますか。それは何ですか。 QUESTION-33
 独立独歩。実行できてないので、みっともない限りだ。

趣味はありますか。 QUESTION-34
 最近少し途絶えてるのだが、文通。
 (インタビュアー、誰が相手かと突っ込もうとしてフレティに睨みつけられ、断念)
 アルに連れられて地中散歩もするよ。あいつの魔法頼みだから、しょっちゅうではないがね。

あなたの世界に魔法はありますか。魔法についてどう思いますか。 QUESTION-35
 ある。私も持っている。
 昔栄えた〈古代魔法王国〉期の力の名残が現代人にも少しだが受け継がれているものらしいよ。はっきりと自覚できる魔力を持つのは、統計上、人口の半数ほどだったかな? そのうち、力を磨く機会が与えられているのは一割に満たないはずだ。
 ──ところで、魔力を含めた人間の総能力は、誰も皆同じだとする説は、本当なのだろうか。もしそうならば、私は魔力などいらなかったのだがね。

好きな事は何ですか。 QUESTION-36
 こっそり外出すること。父上とファーハには内緒だぞ。
 さっきも言ったが、アルが私を抱えて地面を泳いでくれるから、けっこういろいろなところに遊びに行っている。まるでたくましく勇敢な冒険家にでもなったような気分になれるんだ。

嫌いなことは何ですか。 QUESTION-37
 誰かの足手まといになること。

大事なものは何ですか。 QUESTION-38
 大事、の種類がいろいろあるのだが……使い魔のカティア。彼女はある意味、私の目であり耳であり足だ。あとは居場所だな。自分がいつでも帰ってこられる場所は、どこもとても大切だ。

好みのタイプは。 QUESTION-39
 心が温かい人。よく笑う人。活発なほうがいいな。少し向こう見ずぐらいでちょうどいい。私にはできないから、憧れるんだ。
 インタビュアー「『アルみたいなタイプは、ぶっちゃけ、好みですか〜?』という質問が、おもに女性読者の皆さまから多数寄せられています。どうですか?」
 ……私は男だから、この質問には、好みの女性について答えることが求められているのだろう? 何故そこでアルが出てくる? まったく、異界の女子の考えることはよく分からないな。

異性をオトすコツなどあればご教示ください。 QUESTION-40
 そんなものがあるなら、教えてほしいぐらいだが。

異性遍歴などは。 QUESTION-41
 ないよ。

これだけは許せないっということはありますか。 QUESTION-42
 私の大事なものが蔑ろにされること。
 一方的に世話になってばかりで、その人に何ひとつも返すことができない状態。

死ぬまでにやっておきたい事はありますか。 QUESTION-43
 ……それを語らなきゃならないほど、私の人生はまだ切羽詰まってないと思いたいな。

あなたの世界に竜はいますか。妖精は? それは、どんなものですか。 QUESTION-44
 私は現実主義者なんだ。この目で見たものや手に触れたものしか信じないことにしている。

あなたの世界に魔物はいますか。それは、どんなものですか。 QUESTION-45
 ──心の中に、いるのを感じるよ。

雨の日は嫌いですか。その理由は。 QUESTION-46
 嫌いというか……アメリアがきっと一人で泣いてるのだろうと思うと、辛くなる。

忘れられない風景はありますか。 QUESTION-47
 どこで見た、いついつの風景、などというはっきりしたものはないが。宮殿暮らしになる前の、幼い日々の風景はすべて心に残っているよ。とは言え、きっとあれこれ忘れているのだろうな。歯がゆくてたまらない。

戻りたい場所はありますか。 QUESTION-48
 ──アルとファーハのいた、あの家の居間に。
 だが、今の私たちのままであの場所に集まったところで、あの空気に戻れるわけではないし、時を遡ってあの場所に還れればいいのだがな。夢物語だよ、忘れてくれ。

作者にひとこと。 QUESTION-49
 ……お前、趣味全開で私を生み出したろう? その上、何やら『華奢萌え同盟』などという訳の分からぬ同盟まで立ち上げたそうじゃないか。呆れてものも言えないな。

読者にひとこと。 QUESTION-50
 亀の歩みと言ったら亀に失礼なほど、ペースの遅い連載ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。私も全力を尽くしますので、どうぞよろしく。

質問データ:異世界FTキャラを質問攻めだっ!(有沢ケイ様提供)



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