【ブルー】


沈む夕日 引き止めていたくて
伸びる影を互いに踏みしめていた
明日またね 何度も振り返っては
僕らを隔てる夜さえもどかしかった

誰もいないビルに忍び込んで
古いピアノ 覚えたてのあの歌
割れた窓に切り取られた小さな空
物語はいつでもそこから始まった

何者でもなかったから 何にでもなれる気がしていた
未来が見えないから どこまでも行けると思った
濁りのない瞳 ただそれだけを持って
身体貫く日差しは あまりにも澄んでいた

僕ら 見上げた空の吸い込まれそうな青に
限りない夢映して笑った
朝を待ちきれずに 胸の高鳴るままに
遠く 駆け出した

古いメロディー かすれる声で呟けば
生まれ そして消えてゆくだけのノイズ
高いビルに切り取られた小さな空
あの日の物語の続きは語られぬまま

何者でもない自分を 今もただ持て余しながら
未来はいつの間にか 日々の繰り返しの渦の中
澱んでく瞳を時のせいにはしたくないけど
突然の日差しが すべてを霞めてしまう

僕は 見上げた空の突き刺さるような青に
すり切れた夢抱え立ち尽くす
朝を待ち望まず それでも夜は明けて
遠く 流されて

誰もいないビルの前でひとり
口ずさむよ 忘られぬあの歌
割れた窓の向こうに描いてた夢
物語は今でも…

僕ら 繰り返してく明日への道の途中で
行き先を探し続ける迷い子たち
何もかもはまるで泡沫の花のように
咲いて散って忘れられるのが運命だとしても
僕ら 見上げた空の吸い込まれそうな青に
すり切れた夢を高くかざして
朝を待ち受けるよ 何度でも夜を越えて
遥か 手を伸ばす


Fool's Goldトップへ

(c)SAKURAI Minato & AQUAPOLIS.All rights reserved.